もうひとつのジゼルの物語-東京編-,2章 春の風

それから嶋田はコンサルタントとして、週に1度は―大抵それは木曜と決まっていた―、会社を訪れるようになった。レイは、スタジオの受付カウンターからガラス扉越しに彼の姿をたびたび見かけていた。

彼のおかげで総務部の女子社員たちは ...

もうひとつのジゼルの物語-東京編-,2章 春の風

レイがデジタル・ウエーブ・インターナショナルのスタジオ事業部に入って3ヶ月が経とうとしていた。

4月の初め、スタジオの窓からは桜の花がとても美しく見えており、時折、レイはその美しい桜を窓からうっとりと眺めていた。

コラム

はじめまして。Marisaです。
ご訪問くださりありがとうございます。このブログは昔懐かしい少女漫画のような小説と、大好きなバレエに関するコラムが時々、な場所です。
バレエが好きな方達に、楽しんでいただけたらなぁ、と思 ...

もうひとつのジゼルの物語-東京編-,1章 始まりの場所

デジタル・ウエーブ・インターナショナルは少しばかり変わった会社だった。ウェブ開発部門とダンススタジオ部門という変わった事業構成で、そのスタッフの殆どが外国人だ。社内では英語が飛び交い、ここが日本である事すら忘れてしまいそうな環境である ...

序章,もうひとつのジゼルの物語-東京編-

ニューヨークへの直行便は定刻どおり離陸の準備に入った。私は、ゆっくりと通り過ぎる窓の外の風景を、ぼんやりと眺めた。こんな気持ちで日本を離れる事になるなど、3年前の私に想像できたろうか?

私は今、諦めにも似た寂しさと深い喪失 ...