12章 冬の気配

エドはその日の午後、ロンドンでの最後の仕事を終えると、ジュエリーデザイナーである知人のアトリエへ向かった。彼のデザインしたネックレスはレイのお気に入りで、彼女のためにデザインされたそれは、エドが最初のクリスマスに贈ったものだった。

12章 冬の気配

確かに、バークスフォード家がレイの存在を知っているのか、またその存在を認めているのかも分からない。エドの話では、ルイーズに娘がいたと言う事実は知られていない。レイの言う通り、彼女はバークスフォード家にとって存在しない人間なんかもしれな ...

12章 冬の気配

「早いわね、あなたが日本に来てもうすぐ3年近く経つなんて」
ジェイがしみじみと言った。

日曜の午後、レイは、ジェイと彼のアトリエの一角にいた。ロールスクリーンを開けた大きな窓からは秋の光が一杯に降り注いでいる。ジェ ...

コラム

バレエを始めて、やっぱり気になるのはレッスンウェアではないでしょうか?最初はレオタードを着る勇気が出ない、と言うのが大人からバレエを始めた人の大多数ではないかと思います。

教室によっては稀に大人もウェアの指定がある所はあり ...

11章 ノエル

乾杯が終わると、皆、思い思いに談笑したり用意された料理や飲み物を楽しみ始めた。レイとエドもツリーの下に包みを置くと、皆と楽しげに話しをしたりしている。普段とは違ってフォーマルな雰囲気なので、いつもはふざけている彼らも少しばかり立ち居振 ...

11章 ノエル

招待客の殆どがそろった頃、アトリエから店へ降りてきたジェイが
「レイ、エドは?」と聞いた。
「ぎりぎり間に合うって言っていたから、そろそろ来るんじゃないかしら?遅れるなら連絡があるはずだから」
「大丈夫かしら? ...

11章 ノエル

「今日は、午後のレッスンで終わりね」
「そうね。終ったら、さっさと片付けて店に行かなくちゃ」
カフェで昼食を済ませたレイと千夏が、今夜のパーティーについて話しながら、オフィスに戻って来た。

「始まるのは8時 ...

11章 ノエル

3時を少し過ぎた頃、千夏が息を切らせながらカフェに入ってきた。

「ゴメン、ゴメン。ちょっと出遅れちゃって」
そう言って席に座ると、やって来たウェイターにカプチーノを注文した。

「で、何なのよジェイ。外の ...

11章 ノエル

11月も半ば、色づいた街路樹の殆どは舞い落ち、秋も終わり冬がそこまでやって来ていることを告げていた。土曜の午後、レイはジェイと2人、カフェの窓際に座っていた。

「へえ、そんなことがあったの」
ジェイが驚いて言った。 ...

10章 安紗美

エドは、マンションのエントランスまで来ると、鍵を使わずに部屋の番号を押した。
「レイ、戻ったよ」
『お帰りなさい。今、開けるわ』インターホン越しにレイの声が答えた。
間もなく、入り口の自動ドアが、静かに開いた。 ...