大人のバレエ ちょっとウラ事情 ポアントの方が「偉い」?

みんなの憧れ(?)トゥシューズ。
ほとんどの人はポアント許可が欲しくて、せっせと上のクラスのレッスンに通い、許可が出た日には「おめでとうー!」と言う感じで大喜びでした。
私は掛け持ちで習っていた先生(B先生)から「訓練になるからバーを持ってポアント履いてみましょう」と言われ、履き始めました。ポアントを履いて踊ると言うよりは、筋トレ感覚でした。
そうやって初めて履いたポアントは、「拷問シューズ😱」の一言でした。
正直、どう考えたってこれを履いて立てるわけない!と。
最初に履いたポアントは、チャコット。店員さんにフィッテングしてもらった「スワニルダ」(初心者は結構これを薦められたりします)に分厚いトゥパッド。どうもそれがよろしくなかったようです😭
B先生に「あ〜、ポアントが合ってないわ」と言われました。
それまで私は自分の足幅が広いと思っていましたが、実はかなり細幅で甲も低い事が判明。
自分の足に合うものにしてからは「やや拷問シューズ」になりましたが、「これで踊るのは無理だなぁ」と思いました。
なので、ポアントを履き始めて早々にバーを離れ、センターで色々とやるA教室でポアントは履きたくなかったのです。
それを「ポアント・マジック」と言う
ポアントと初級クラスから逃げていた5年間、自分で履かないと決めていたのでそれでよかったのですが、時々、不愉快な気持ちになる事がありました。
それは、早々にポアント許可をもらったかつての仲間からの言葉、今風に言うと「マウント」でしょうか?
大人でバレエを習っている人の中には、とにかく「ポアントが正義」のように思っている人もいます。
『ポアント許可が出た私は、許可が出ていない人よりも偉い』
と言う感じで、何年か通っているのにポアント許可の出ていない人を見下すというか……。
態度や言葉の端々に、それが現れているのですよね……😅
それまで、同じクラスで仲良くしていたのに、急によそよそしくなって「いつまでも入門クラスじゃ上達しないよ」なんて言ったりします。
発表会でも、いつもバレエシューズかキャラクターシューズで踊る私は「一番下っ端」扱いで、バーの位置や楽屋の場所も隅っこに追いやられたり。思えば、そのA教室自体が「ポアント履いているの人が上」という風潮だったのかもしれません。
ポアント許可が出た途端、そんな風に態度が変わる人が多かったので、私はその現象を「ポアント・マジック」と呼んでいました。
仲の良かった人たちが「ポアント・マジック」にかかってゆくのは、何だかとても寂しい気持ちになりました。
ポアント許可と恐怖の発表会
私が初めてA教室でポアントを履いた半年後に、発表会がありました。
ポアント許可が出た数週間後に配役の発表があったのですが、なんと、私はポアントで踊るグループに組み入れられていました。
心の中で「ポアントの人数合わせに許可出したな……😅」と苦々しい気分になりました。
私に感じの悪い態度だった人たちが「大丈夫?ポアントで踊れる?」と言いましたが、陰で「ポアント履き始めたばっかりなのに、踊れるの?迷惑だよね」とか「なんで、ポアント許可出たばかりで発表会ポアントなの?」なんて言っているのを私は知っていました。
けれど、彼女たちもポアントでの発表会は初めて。
慣例(?)では、発表会が終わった後にポアント許可が出て、次の発表会でポアントという流れだったので、「時期外れ」にポアント許可が出てポアントで発表会に出る事が気に入らなかったのだと思います。
1年間ポアントを頑張ってきて、やっとポアント履いて発表会に出るのに、許可出たばかりの人がポアント履いて発表会なんてズルイ!
そう思う気持ちも分かります。
でも、決めたの、先生だし……。
私だって、ほぼ人数合わせにポアント許可を出されて「あーあ、嫌だなぁ」と思っていました。
根性で踊った発表会
そんなこんなで、振りうつしの日がやってきたのですが、「ポアント初心者にこれやらせる?」と言う振り付け。
5人で踊る曲は「初めてのポアントで発表会」メンバーズだったので、それほど難しくはありませんでしたが、コール・ドの方は中級以上の人たちが混じっているので「正気か?😱」と言いたくなりました。
目立たない後列の端っこで、人数合わせなのは見え見えですが、初心者にどうしろと?とモヤッとしました。本当に初めてポアントを履いていたら泣きたくなるような振りでした😭
先生は「立てなかったらドゥミでいいから〜」なんて言いましが、もやっとした気分だった私は「絶対にポアントで立ってやるっ!」と根性で踊りました。貸しスタジオを借りてこっそり練習したりと、それは大変だった記憶があります。
発表会が終わった後は、
あ〜、もうポアントで発表会なんて絶対に嫌だ!
でした。
バレエシューズでもうちょっとマシに踊りたい、と。
けれど、思いは人それぞれで『とにかくポアント履いて舞台に立ちたい』『ポアントで頑張りたい!』と言う人たちもいます。どちらかというと、こちらの方が多いのではないかと思います。
大人からバレエを始めた人の多くにとっては『憧れのトゥ・シューズ』、おそらく私の方が少数派でしょう。
それ以降、発表会でポアントが嫌だと愚痴る私は、周りの人たちには不思議に映っていたようです。ポアントの後にキャラクターシューズで踊るときなどは「ポアントから解放されてめちゃ幸せそうだね」と言われた事もありました。
だって、本当にポアントで踊るの、辛かったんだもの。
そして、数年後のある日、私はある出来事でポアントもバレエも、一旦止めることになります。