4章 初夏 3 -レイの想い-
「レイにとって、彼に恋しちゃったって事は、予想外の出来事だったのよ、多分。あの子、いつもスタジオの扉越しに、たまに来る彼の姿を見てたわ。自分の気持ちに少しも気づかずにね」
「で、今日彼がその子と一緒にいるのを見て、初めて自分の ...
4章 初夏 2 -千夏の予感-
その日、仕事が終わると、千夏はKINGSへと向かった。
「ナツ、いらっしゃい。あら?レイは?一緒に来るんじゃなかったの?」
「今日は踊りたい気分なんですってよ」
少し憮然とした表情をしながら千夏はカウン ...
4章 初夏 1 -揺れる想い-
春も終わりを告げ、通りの木々は淡い緑で彩られていた。そろそろ梅雨の季節が来る、と千夏が憂鬱そうに言っていたが、とてもそんな風には思えない気持ちのいい日だった。
レイは、ランチを買いに出かけたものの、心地よい空気の誘惑に負け ...