6章 Edward 8 -メッセージ-
10時を過ぎた頃にエドが店を出ると、ジェイはレイに電話をした。土曜の彼女は、仕事が終わった後、大抵どこかのオープンクラスでレッスンを受けている。そろそろ、それが終る頃だ。
「レイ、私よ。今どこ?もう終った?」
「ハ ...
6章 Edward 7 -ジェイとエド-
エドは、また小さくため息をつくと、本を閉じた。ロックを一口飲むと、視線だけを動かして店内を見た。いつもより、お客の数は少ないが、知った顔ばかりだ。
「エド、黄昏てる表情も素敵ね」
ジェイが突然声をかけたので、エ ...
6章 Edward 6 -オークリッジ-
エドは、今頃ルイーズ・バークスフォードの事を知りたいと言う人がいるなんて不思議だと思った。ジェイの言う知り合いは彼女の古い友人なのだろうか?と。
娘を亡くし、悲しみにくれるバークスフォード夫人の姿を、エドは今も覚えていた。 ...
6章 Edward 5 -ルイーズ・バークスフォード-
土曜の夜、エドが少し浮かない顔をしてKINGSに現れた。
「あら、どうしたの?何だかお疲れ気味じゃない?」
「忙しくてね、最近」
「もしかして、今日も仕事だったの?」
「まあね」
「大変なの ...
6章 Edward 4 -動揺-
レイはカウンター席のスツールに腰を下ろし、ジェイはいつものようにカウンターの中に入った。
「……確かにそうね。あなたのお母さんは婚約者のある身であなたのお父さんと恋に落ちた」
ジェイはそう言いながら、キャビネッ ...
6章 Edward 3 -過去の影-
レストランを出て会社の前まで来ると、嶋田は自分の携帯番号とメールアドレスが記されたカードをレイに差し出した。それは、会社名の入っていないもので、おそらくプライベートの名刺なのだろう。
上品な紙質のカードは、日本語ではなく、 ...
6章 Edward 2 -誤解-
そこは、カジュアルなイタリアンレストランで、さすがにランチ時とあって混み合っていた。二人は、5分ほど待たされた後、テラス席に案内された。ちょうど木陰になっていることもあり、まだそれほど暑さが厳しくない7月のオープンエアは、とても気持ち ...
6章 Edward 1 -思いがけない誘い-
昨夜は、よく眠れなかった。突然、嶋田と出くわしたせいなのか、彼を思うと、どうしようもなく心が波立ち、切なかった。
ジェイに楽しいことを考えろと言われたばかりなのに、とレイは思った。
寝不足のまま午前中の仕事を終 ...