もうひとつのジゼルの物語-東京編-,2章 春の風

それから嶋田はコンサルタントとして、週に1度は―大抵それは木曜と決まっていた―、会社を訪れるようになった。レイは、スタジオの受付カウンターからガラス扉越しに彼の姿をたびたび見かけていた。

彼のおかげで総務部の女子社員たちは ...

もうひとつのジゼルの物語-東京編-,2章 春の風

レイがデジタル・ウエーブ・インターナショナルのスタジオ事業部に入って3ヶ月が経とうとしていた。

4月の初め、スタジオの窓からは桜の花がとても美しく見えており、時折、レイはその美しい桜を窓からうっとりと眺めていた。