8章 夏の終わり3 -エド-
木曜のお昼を少し回った頃、レイが受付で名簿のチェックをしていると、コンコンとガラス扉を叩く音がした。顔を上げると、そこには嶋田の姿があった。心臓がどきりと音を立てたのが自分でも分かった。
彼はレイと視線が合うと、にこりとして軽 ...
8章 夏の終わり2 -告白-
ジェイは翌日の日曜、エドをランチと言う名目で店まで呼び出した。アーロンと三人で昼食を済ませると、ジェイはエドの様子を伺いながら
「ねえ、この前から聞こうと思っていたんだけど、どうしてコンサルタントをやっているの?」と、レイとは ...
8章 夏の終わり1 -もどかしさ-
「本当に、どうしたものかしらねぇ」
ため息をつきながらジェイがいった。
「何を?」
撮影した写真のデータをパソコンで処理しながらアーロンが聞いた。
「エドとレイ」
「ああ……、あの2 ...
7章 Patlic 8 -ジェイの戦略-
「まったく、どこまで後ろ向きなんだか」
パトリックは、KINGSのカウンター席につくなり、ジェイに言った。
「何のことよ?」
ビールグラスを手にしながらジェイが聞いた。
「ローラ」
...
7章 Patlic 7 -否定-
翌日、午前中のワークショップを終え、パトリックはレイと一緒にオフィスの片隅に置かれたテーブルでお昼をとっていた。千夏は午後からの出勤でまだ出社しておらず、事務のエリカは出かけていた。
「なあ、ローラ、この間の彼とは、どうな ...
7章 Patlic 6 -KINGS-
3人はカウンターの奥に座っているエドには気づかず、入り口に近いカウンターに3人並んで座った。
「久しぶりね、パトリック。何年ぶりかしら?」
ジェイが懐かしそうに聞いた。
「4年ぶりくらいじゃないか?こっちの ...
7章 Patlic 5 -エドの秘密-
エドはカウンターの奥に座ると、いつも通りスコッチのロックを注文した。
「どうしたの、エド?なんだか冴えない表情して。ま、そんな表情もクールだけど」「何でもないよ。……ただ、」
「だだ、何?」ジェイはエドの言葉を繰り ...
7章 Patlic 4 -ロミオとジュリエット-
パトリックとはパートナーとして踊った事は殆どなかったはずなのに、息もぴったりと合い、とても踊りやすかった。
「ローラ、君の踊りは相変わらず優雅で美しい」
パトリックは息を切らしながらそう言うと、レイの手を取って ...
7章 Patlic 3 -レイとパトリック-
午後3時を過ぎた頃、ガラス扉の向こうに千夏とパトリックの姿を見つけると、レイはエントランスに駆け出した。
「パトリック!」
レイの姿を見つけると、パトリックは満面の笑みで彼女に駆け寄り、思い切りハグした。
7章 Patlic 2 -再会-
パトリックは、到着ロビーに着いて千夏の姿を見つけるや否や、千夏を思い切りハグした。
「やあ、久しぶり!何年ぶりだ?踊ってるか?日本はどうだ?」
彼は立て続けに質問を浴びせた。
「さあ、スタジオに案内してくれ ...