6章 Wish I could

「エド……?私の顔に、何か……?」
サラは、エドの視線に戸惑いながら(なんとなく、マズイ展開だわね)と思った。

「サラ、僕は君を……」
エドが迷いながらそう言いかけると、サラは、彼が何を言おうとしているのか ...

6章 Wish I could

木曜の夜、エドはSTEP IN のクラスを終えてスタジオを出ると、地下鉄の駅へ向かった。

レイの手がかりをつかもうとして通い始めたクラスだったが、もう習慣のようになっていた。最初のうちは、クラシックのクラスに入るだけで彼女 ...

6章 Wish I could

何の消息も掴めないまま、季節は秋になろうとしていた。

エドは客先からオフィスに戻ると、パソコンの電源を入れ、カバンの中の資料をデスクの上にどさりと置いた。数件のメールを確認して、返信を送ると、エドは視線をディスプレイから窓 ...

コラム

仕方なく通い始めた「初級クラス」は、 ものすごーく憂鬱でした。まず、バーが長くてややこしい……。覚えてしまえばどうって事のない組み合わせなのですが、忘れちゃうんですよねぇ……😭

なので、いつも慣れた人の隣に ...

5章 Giselle I

パトリックが着替えを終えてロッカールームから出てくると、スタジオの扉をノックする音が聞こえた。扉を開けて入ってきたのは彼の妻、アンだった。

「やあ、アン」
「もう、レッスンは終わったの?ローラは?」
「ああ ...

5章 Giselle I

レイの話を聞き終わると、パトリックは少し戸惑った表情をしたまま黙り込んだ。何と言葉をかけたらいいのか分からなかった。

レイは、そんなパトリックの表情を見ると、困ったように口の端だけを上げて小さく笑ったあと、視線を自分の足元 ...

5章 Giselle I

レイは、何度もジゼルを踊るなかで、次第に心の奥からこみ上げる切なさを押し殺すことが出来なくなっていた。

その日、1幕のバリエーションを踊っていると、パトリックが途中で音楽を止めた。

「ローラ、どうしてそんなに寂 ...

5章 Giselle I

週末になると、パトリックはレイとのリハーサルのためニューヨークまでやってきた。

スタジオに入るとパトリックはジゼルの音楽を流しながら
「ローラ、君はジゼルをどう踊りたい?」と聞いた。

「……そうね。…… ...

5章 Giselle I

レッスンが終る頃、芸術監督のカーティスが稽古場のドアを開けて入ってきた。彼は稽古場の中にレイの姿を見つけると、笑顔を浮かべながら
「君がローラだね。何度か君の踊りは観た事あるよ。よろしく」と言った。

そして彼は鏡の ...

5章 Giselle I

8月の初旬、レイはジョージ・スター・バレエ団の本拠地があるシカゴへ向かった。

団員たちとの顔合わせのためだったが、レイは少し気が重かった。いきなり、主役を踊ることになった自分を皆がどんな目で見るのだろう?と。かつてABTの ...