5章 Giselle I

8月の初旬、レイはジョージ・スター・バレエ団の本拠地があるシカゴへ向かった。

団員たちとの顔合わせのためだったが、レイは少し気が重かった。いきなり、主役を踊ることになった自分を皆がどんな目で見るのだろう?と。かつてABTの ...

コラム

長らく更新をサボっていました😅

コロナ以降、せっかく再開したバレエも再びお休み中……。

……というか、小さなカルチャースクールだったので無くなっちゃったのです😭

以前 ...

4章 Dancer

木曜の午後、パトリックに連れられて行った貸しスタジオは、まだ新しく、とても綺麗で広いスタジオだった。レイが時々借りる古い小さな貸しスタジオとは大違いだ。

「すごくいい床だわ。天井も高くて明るくて……。高いでしょう?」

4章 Dancer

スタジオを出ると、レイは少し曇った空を見上げた。

(……舞台に戻ることができれば、私は彼を思い出さずに生きられるかもしれない。この辛い気持ちから解放されるかもしれない)

ふとそう思った。

けれど、今 ...

4章 Dancer

月曜の午前、レイは久しぶりにSTEP IN のクラスに向かった。それは、ABTにいた頃から時々受けていたクラスで、参加しているメンバーの殆どがプロのダンサーだ。昔の仲間に会うかもしれない、と言うのが嫌で、今まで行くのを躊躇っていたが、 ...

3章 Broadway

12時を少し過ぎた頃、サラはTシャツとスウェットパンツに着替えると、水の入ったペットボトルとバッグを持ってBDSロッカールームを出た。ジャズダンスのクラスを受けるためだ。軽快な音楽に乗って身体を動かすのは、サラにとって最高のストレス発 ...

3章 Broadway

エドがニューヨークに来て数ヶ月が過ぎようとしていた。
よく晴れた土曜の朝、エドはいつも通りBDSのスタジオへ向かった。朝10時からのクラスを受けるためだ。STEP IN のクラスで親しくなったケニーも、度々このクラスに顔を出し ...

2章 New York II

その日エドが向かったのは、タイムズスクエアから少し歩いたところにあるSTEP INだった。そこは、時々ABTやNYCBのダンサーがクラスを受けに来るので有名だった。

殆どのダンススタジオで中級以上のクラスは、午前中からお昼 ...

2章 New York II

水曜の朝、エドがオフィスで資料をまとめていると、マークスが秘書のサラを連れてやってきた。

「エド、紹介するよ。君のアシスタントのサラだ」
「サラ•ニコルソンです。一緒にお仕事できて光栄ですミスター・オークリッジ」 ...

2章 New York II

ミッドタウンにあるマークスのオフィスでは、5名のコンサルタントを始め、全部で14名のスタッフが働いていた。

スタッフの人数に対して広すぎるくらいのオフィスは、白を基調にダークブラウンをアクセントカラーにしたモダンな雰囲気で ...