14章 冬空

年も明けた早々、レイの担当するクラスに初めて見かける外国人女性が混じっていた。外国人がクラスにいることは珍しいことではなかったが、中級レベルのクラスを受けるには、まだ訓練が足りない様子だった。それでも彼女は堂々としていて自分に自信を持 ...

コラム

サテンが美しい淡いピンクのトゥシューズに憧れてバレエを始める人も多いバレエ。けれど、バレエを初めて最初に履くのはトゥシューズではなくバレエシューズです。では、いつになったらトゥシューズを履けるのでしょうか?

トゥシューズは ...

13章 Christiy

エドが部屋に戻ると、玄関にレイの靴がきちんと揃えて置かれていた。

「レイ、来ているのか?」

エドが部屋の奥に呼びかけると、レイがリビングの扉を開けて顔を出した。

「おかえりなさい。……ごめんなさい、 ...

13章 Christiy

「レイ、あなたによ」

千夏が、電話を保留にしながら言った。
「私に?誰から?」不思議そうにレイが聞いた。

外線でレイ宛に電話が掛かって来るなど、殆どないからだ。

「名前を聞いたんだけど、とに ...

13章 Christiy

午後6時半を少し過ぎた頃、KINGSの扉が開いた。
「あらエド、珍しいわね。こんな早い時間に来るなんて」
ジェイが、氷を削る手を止めて言った。
「出張明けくらいはね」
エドは、上着を脱いで入り口近くのク ...

12章 冬の気配

「大切なものは、何があっても決して手放してはいけないわ」

エドはメアリーの言葉に、はっと我に返って顔を上げた。メアリーは庭のずっと先を眺めたまま、呟くように、ぽつりと
「……ルイーズにも同じ事を言ったわ」と言った。 ...

12章 冬の気配

どうやって知ったのか、ロンドンに滞在している事を知った父親から連絡があり、渋々ロンドン郊外の家に戻ると、父と継母のアメリア、そしてクリスティ・リングトンが彼を迎えた。

10歳近く年下のクリスティは、エドにとって、幼い頃を知 ...

12章 冬の気配

エドはその日の午後、ロンドンでの最後の仕事を終えると、ジュエリーデザイナーである知人のアトリエへ向かった。彼のデザインしたネックレスはレイのお気に入りで、彼女のためにデザインされたそれは、エドが最初のクリスマスに贈ったものだった。

12章 冬の気配

確かに、バークスフォード家がレイの存在を知っているのか、またその存在を認めているのかも分からない。エドの話では、ルイーズに娘がいたと言う事実は知られていない。レイの言う通り、彼女はバークスフォード家にとって存在しない人間なんかもしれな ...

12章 冬の気配

「早いわね、あなたが日本に来てもうすぐ3年近く経つなんて」
ジェイがしみじみと言った。

日曜の午後、レイは、ジェイと彼のアトリエの一角にいた。ロールスクリーンを開けた大きな窓からは秋の光が一杯に降り注いでいる。ジェ ...