9章 秋雨

キッチンでコーヒーを入れていると、不意にレイの携帯が鳴った。日曜の朝から誰だろう?と思い、着信を見ると画面にはジェイの名前が表示されている。
レイは少し迷ったあと、留守番電話に転送されるギリギリのところで電話に出た。

9章 秋雨

レイの部屋は広いワンルームで、ダークブラウンのフローリングと同じ色の腰板がついた白い壁には、アンティーク調の間接照明が取り付けられていた。
ベッドルームとは天井までのシェルフで仕切られている。どことなく、イギリスの片田舎を思わ ...

9章 秋雨

エドがレイの頬にそっと触れると、レイは、戸惑った表情のまま彼を見た。レイには、自分の置かれている状況が、まだよく理解できなかった。

「私は夢を見ているの?」心の中でそう思った。

エドは彼女の髪を優しく撫でるよう ...

9章 秋雨

店を出て帰途についたのは12時近くで、そろそろ終電という時間になってからだった。

2人とも、外苑前から歩いて10分とかからない所に住んでいたが、それぞれの住まいは、駅を挟んでちょうど反対方向にあった。

降りる駅 ...

9章 秋雨

約束の日、レイは仕事が終わると一度部屋に戻り、淡いグレーの柔らかなタートルネックのニットを着て、深いブルーのデニムを穿くと、バロックパールのロングネックレスを着け、フワフワとしたファーが柔らかなボルドーのジャケットを羽織った。

9章 秋雨

「昨日、ミュージカルに誘われたわ。嶋田さんに」

金曜の夜、店にやってきたレイは、カウンター席に着くと、まるで業務報告をするようにジェイに言った。「まあ!そりゃ、よかったじゃない!ミュージカルなんて素敵だわ。で、いつ?」

8章 夏の終わり

木曜のお昼を少し回った頃、レイが受付で名簿のチェックをしていると、コンコンとガラス扉を叩く音がした。顔を上げると、そこには嶋田の姿があった。心臓がどきりと音を立てたのが自分でも分かった。
彼はレイと視線が合うと、にこりとして軽 ...

8章 夏の終わり

ジェイは翌日の日曜、エドをランチと言う名目で店まで呼び出した。アーロンと三人で昼食を済ませると、ジェイはエドの様子を伺いながら
「ねえ、この前から聞こうと思っていたんだけど、どうしてコンサルタントをやっているの?」と、レイとは ...

8章 夏の終わり

「本当に、どうしたものかしらねぇ」
ため息をつきながらジェイがいった。

「何を?」
撮影した写真のデータをパソコンで処理しながらアーロンが聞いた。

「エドとレイ」

「ああ……、あの2 ...

コラム

大人なってからバレエを始めようと思っても、なかなかそれを行動に移せない理由の一つは「体が硬いから」ではないでしょうか?確かに、体が硬いよりは柔らかい方が良いですが、大人からバレエを楽しむのには、それほど重要ではないと思います。 ...