もうひとつのジゼルの物語-東京編-,5章 Lauren

ジェイが、冷凍庫を開けようと手を伸ばした時、カウンターの内側に置かれていたジェイの携帯電話がコールした。ジェイはチラリと携帯電話を見ると

「誰よ、今日はもう業務終了よ」と言いながら、仕方なさそうに電話に出た。

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もうひとつのジゼルの物語-東京編-,5章 Lauren

ナツが心配していたわ。またあなたが踊ってるって。あなたがそんな風に踊るのは何かを忘れたい時でしょ?」
「別に私は……。こっちに来てから舞台に立つ機会もないし、単に踊りたかっただけで……」
ゴマかすように言うと、レイはグ ...

もうひとつのジゼルの物語-東京編-,5章 Lauren

いつの間にか、季節は緑のまぶしい夏になろうとしていた。あの日、立川安紗美と嶋田の姿を見て以来、レイの心は波だってばかりだった。心が軋んでどうしようもなく、それを収めるには、踊る以外の方法を彼女は知らなかった。

その日も皆が ...