9章 Gisell II -不安と期待-
翌日の夕方、エドはパトリックから呼び出され、エンパイア・ステートビルのビアホールにいた。
「すまないね、こんなところに呼び出して」
「いや、構わないよ」
パトリックは半分飲みかけのビールをグイと飲み干す ...
9章 Gisell II -痛み-
殆どの客が客席を立ったころ、ようやくエドも席を立った。
そして、ロビーに出て携帯電話の電源を入れると、それを見計らったように呼び出し音がなった。パトリックだった。
「やあ、どうだった?舞台は。」
「…… ...
9章 Gisell II -愛-
エドは席に着くと、プログラムを開いた。
ローラ・バークレー、間違いなくその写真はレイだ。まだ少し信じられない気分だったが、ずっと探し続けた彼女がこれからこの舞台で踊るのだと、そう思うと彼の胸は高鳴った。
開演の ...
9章 Gisell II -蒼のインク-
エドは、いつもより早めに仕事を終えてオフィスを出ると、花屋に立ち寄り、頼んでおいた花束を受け取ってから劇場へ向かった。ベージュがかった優しい色のバラはレイの好きだった花だ。
劇場へ到着し、花束を受付に言付けると、エドは開演 ...