8章 Patlic -素直になれなくて-
パトリックがホテルの部屋に戻ると、アンがシャワーを浴びて出てきたところだった。パトリックは、はぁ~ とため息をつきながら、ソファにドサリと座り込んだ。
「どうしたの?大きなため息なんかついて。例のダンサーには会えたの?」
8章 Patlic -ふたりの男-
2人はスタジオを出て少し歩くと、こぢんまりとしたバーへ入った。パトリックはビールを2つオーダーし、奥のテーブル席につくと、エドを冷ややかに一瞥した。
「エド、どういうつもりだ?ローラはお前に婚約者がいると言っていたが」
8章 Patlic -再会-
着替えを済ませ、スタジオに入ると十数名のダンサーが思い思いにウォーミングアップをしていた。
(……知った顔は、いないな)
パトリックはスタジオの中をぐるりと見回すと、床に座って身体をほぐし始めた。しばらくすると ...
8章 Patlic -はじまり-
ニューヨーク公演3日目の夕方、パトリックは仲間のダンサー3人とラナのテラス席にいた。今日は出番もなく代役として控える必要も無い、オフのダンサーたちだ。
「昨日の舞台は大成功だったな」
「ああ、本当に。お前が彼女 ...