最終章 Tokyo

もう、11月が終ろうとしていた。エドがレイを追ってニューヨークに移って半年以上が過ぎていた。

デジタル•ウェーブ•インターナショナルのスタジオ事業部では、千夏がダンスサイトのある記事に目を留めていた。それは、2週間前に行わ ...

13章 Over the rain

セントラルヒーティングで暖められたリビングの大きな窓の向こうには、灰色に曇ったマンハッタンがモノクロームの写真のように広がっている。

「今日はとても冷えているよ」

エドがそう言いながら、窓際に置かれたダイニング ...

13章 Over the rain

目を覚ますと、見慣れない天井がぼんやりと映った。微かに雨の打つ音がする。

(……ここは、どこだろう?)

レイは、自分がどこにいるのか、すぐには分からなかった。目をこすりながら、ゆっくりと視線を動かした。 ...

12章 Forever and ever

エドが突然の風に驚いてリビンングの方を見ると、レイがバルコニーの手すりに手をかけ下を覗き込むようにしていた。

次の瞬間、彼は弾かれたようにレイに駆け寄り彼女の腕を取ると、部屋の中へ引き入れ、窓をぴしゃりと閉めた。

12章 Forever and ever

エドのアパートは、グランドセントラル駅から歩いて数分のところにあった。まだ新しいその高層アパートは、ドアマンが常駐する高級アパートメントだった。

レイはタクシーを降りると、少し躊躇する様にそこに立ち止まった。エドは、レイを ...

12章 Forever and ever

ドアをノックする音のあと、パトリックが遠慮がちに

「いいか?」と言いながら、ドアを開けた。

エドは、腕を緩めるとレイの肩を抱き寄せたまま、パトリックの方を向いた。

「ああ、大丈夫だよ」

...

12章 Forever and ever

アンが出て行くと、レイは緊張した面持ちで、ベッドの隅に腰掛けた。本当に、彼が?と未だに信じられない気持ちだった。あんなに会いたいと願っていたのに、今は彼と会う事が怖くてたまらなかった。

クリスティが自殺を図ったあの日が、レ ...

12章 Forever and ever

着替えるから、と部屋を追い出されたパトリックが外の空気を吸いに外に出ると携帯電話が鳴った。エドだ。

「パトリック?今戻ったから、これから出るよ」

「ああ、わかった。じゃあ病院の前のカフェで会おう。ローラの事で色 ...

11章 So far so close

パトリックは椅子をレイの前に置くとそこに腰掛けた。「ローラ、彼は……、エドは今、ニューヨークにいるんだよ」と話を切り出した。

その言葉に、レイの心臓がどきりと音を立てた。そして、ゆっくりと顔を上げると、強ばった表情でパトリ ...

11章 So far so close

翌日の午後、再びパトリックが病院を訪ねると、担当医が慌てた様子でパトリックを呼び止めた。

「バークレーさんを見ていませんか?」

顔色を変えて聞く彼に、パトリックは不安な表情をしながら

「いや……、今 ...