7章 Traces

11月になって間もなくのことだった。その日、夜10時近くまで仕事をしていたエドがオフィスを出ると、携帯がコールした。ケニーだ。

「おい、今どこだ?」

「オフィスを出たところだよ」

「そうか。疲れてる ...

7章 Traces

2人は、その足で数ブロック離れたBDSのスタジオへ向かった。バタバタと2人が入って来ると、受付のアビーが

「あら、お二人さん、忘れ物?」と、明るく声をかけた。

「いや違うよ。ちょっと聞きたい事があって……」

7章 Traces

土曜の昼下がり、BDSのクラスを終えたエドとケニーは、いつものようにラナに入った。

「この間の夜、タイムズスクエアの近くで、彼女を見かけた」

エドがバッグを床に置きながら言った。

「えっ、見かけたっ ...