14章 冬空

ジェイは、やれやれと一息つくと

「あなたがクリスティを傷つけまいとすればする程、レイが傷つくって言うのは間違っていないわ。ねえ、エド、あなたにとって一番大切なのは何か、よく考えて。クリスティを傷つけないことなの?それともレ ...

14章 冬空

「やあ、ジェイ。しばらく」
エドは上着を脱ぐと、ジェイのすぐ前、千夏とひとつ間を空けたスツールに腰掛けた。

「……随分、お疲れみたいね」
ジェイがそう言いながら、彼の前にグラスを置いた。
「色々とね ...

14章 冬空

「また、レイがスタジオに篭っているのよね」
千夏が心配そうにため息をついて言った。
「……エドと何かあったの?」
「彼と喧嘩したくらいなら、スタジオに篭ったりしないわよ。話はもっとややこしいの。ジェイ、何も聞い ...

14章 冬空

年も明けた早々、レイの担当するクラスに初めて見かける外国人女性が混じっていた。外国人がクラスにいることは珍しいことではなかったが、中級レベルのクラスを受けるには、まだ訓練が足りない様子だった。それでも彼女は堂々としていて自分に自信を持 ...