大人のバレエ ちょっとウラ事情 私がバレエをやめた理由 [前編]

コラム

私がバレエをやめたのは、もう5年くらい前でしょうか?大好きだったバレエ、80歳まで踊りたいと思っていたバレエ。けれど、私はやめてしまいました。

決して、バレエが嫌になったのではありません。私が嫌になったのは人間関係でした。

その頃、私は仕事や家族の問題など、体力的にも精神的にも大変な時期でした。経済的な事情も手伝って、一時的にバレエもお休みしていました。

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「騙された気分」で始まった最後の発表会

お休みして半年ほど経った頃だったでしょうか、所属していたスタジオから、「発表会に出てくれない?」と連絡がありました。どうしても人が足りないから、と言います。

踊りたいのはやまやまですが、私は「レッスンに行く時間もないし、出られません」と返事をしました。

私は、そのスタジオからは少し遠い場所に引っ越しをしていて、スタジオまで片道1時間半かかります。職場とは反対方向で平日の仕事終わりでは8時にスタジオ着、レッスンして家に帰ると12時近くになります。

週末も土曜か日曜に1レッスン受けるのがやっとです。とても発表会のための練習に十分な時間をとれません。

何度か断ったのですが、週一回のレッスンとリハーサル、本番だけ何とかしてくれればいいし、バレエシューズでOK、あなたも気分転換が必要でしょ?と言います。発表会の練習はレッスン後に1時間くらいまでで大丈夫だから、と。

そんな言葉に、つい気持ちが揺らいで、私は引き受けてしまいました。

それから数日後、久しぶりに顔を出したスタジオで発表会の役を言い渡されたのですが、それはポアントで踊る役でした。

「えっ?バレエシューズって聞いていたのだけど……」と言うと、
「やっぱりポアントで。一人だから自分のペースで練習できるでしょ?」とサラッと言われてしまいました。

「休んでたし、もうだいぶ長いこと基礎レッスン以外でポアント履いていないんですけど」と抵抗しましたが「大丈夫、大丈夫」と押し切られました。

正直、私はポアントで踊りたくありませんでした。半年以上休んでいるし、久しぶりのポアントだし。レッスンだって週に1度がやっとです。

何だか騙された気分になりました。

豹変する仲間たち 嫌味地獄

実際に発表会に向けたレッスンが始まると、週に一度しかレッスンに来られない私に対して、周りの人たちが、嫌味のような事を言うようになりました。小さなスタジオで、もともとはみんな仲がとても良いところだったのですが、「半年以上休んでいたのに発表会は出るんだね」と誰かがボソッと言ったのがきっかけでした。

なんで、もっとレッスン来ないの?みんな来てるよ
週に一度しかレッスン来ないなんてあり得ない
練習に来ない人がいるとみんなのテンションが下がる

などなど

仕事をしていない彼女たちは、毎日のようにレッスンに来ていて、週に一度しかレッスンに来ない私を快く思っていないようでした。以前通っていた教室でも、発表会の自主練に来ない事を理由に、色々言われたことがあったので、「結局、ここも同じか」と何とも残念な気持ちになりました。

週に一度しかレッスンには行けませんが、振りも一度で覚えたし、ポアントも何とかやっているし、それに、彼女たちに迷惑をかけてもいないのに、と思いました。家に畳1枚分ほどのリノリウムを敷いて、知り合いから安く譲ってもらった古いバーを置き(結構場所を取るのですよね、これ)、毎日少しの時間でもポアントを履いて練習して、私も必死でした。

ちゃんと踊ってるのに、なぜ嫌味を言われなければならないのか理解できませんでした。

初めて、彼女たちが見ている前でポアントを履いて自分の役を踊った時のあの嫌〜な感じは今も覚えています。
「ずっと休んでたのに、ポアントで踊れるの?コケたらウケる(笑)」とか。

思わず「毎日レッスンしているのに、まだ振りも覚えてないあなたたちに言われたくない!」と心の中で毒づいてしまいました。

正直、趣味で楽しむためにやっているバレエなのに、どうしてお金を払って嫌な気分にならなければならないのかと思いました。

とは言え、まだ仲良く話せる人がいたので、それなりに楽しい時間を過ごせていました。

けれど、それも変わる日がやってきます。

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コラム

Posted by Marisa